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#83:堕天使(その2)

#83






部屋の中はカーテンが締め切られ、ベッドの上の全裸のまひるをルームライトが艶かしく映し出している。


ベッドに横たわって自慰行為に耽っているまひるは、俺がこの場に立っていることにも気付いていないようだった。




「ねぇ…早く…焦らさないで…」




うっすらと開いた瞼から覗いている瞳は、何を見ているのか…


まるで、そこに誰かがいるかのように、空を切る指先が心許なくて、何だか儚く見えた。




「まひる…?」




朧げなルームライトに消えてしまいそうなまひるを、恐る恐る呼んでみる。


一瞬、止まったかのように見えた体は、再び艶かしくベッドの上で悶えだし、俺の声はまひるには届いていないようだった。


俺はもう一度、今度はしっかりとまひるの名前を呼んだ。


そして、焦点の合わないまひるの目の前に、覆い被さるようにして顔を近づけた。


俺の瞳に誰の存在かを確かめるように、まひるの視線が動く…


ようやく目が合ったまひるが、俺の顔を瞳に映して、今までに見せたことのないような無邪気な顔で微笑んだ。




「まひる、分かるか?俺のこと…」




俺の言葉にまひるは微笑んだまま、ゆっくりと目を伏せる。


まひるのその仕草に、俺だと理解したと思った瞬間、濡れた唇がゆっくりと動き出した。




「…来てくれたの?…嬉しい…」




まひるはそう呟くと、覆い被さった俺の首に両手を絡め、一瞬、天使のように微笑んだかと思うと形のいい唇から舌を覗かせ、俺の下唇を舐め上げた。


それが、合図になったかのように、まひるの舌は俺の唇を舐めながら、歯列を割って口内に侵入してきた。


その舌先はすぐに俺の舌を探し当てると、吸い付くように絡んでは唾液の音をわざとのように響かせている。


息つく暇もないくらい濃厚に舌を絡ませたまひるは、俺の目をチラッと見た後、もの凄い力で覆い被さっていた俺の体をベッドに仰向けにした。




「おい、まひる…そんなに焦んなくていいからさ。お前と連絡が取れなくて、心配してたんだぞ。何かあったんじゃないかって…」




そう呟く俺を余所に、まひるはシャツのボタンを荒々しく外すと、直ぐ様ベルトへと手を掛けた。




「おい、まひる。俺の話、聞いて…る?」




仰向けになった俺は頭をもたげて、まひるの姿を目で追いながら言葉を掛ける。


ベルトに手を掛けたまひるの表情は、今までに見たことがないほど艶かしいものだった…


しかし、ズボンの中で昂った俺のモノを露にしようとする姿は、まるで飢えた獣のようで、俺はまひるの行動に改めて違和感を感じずにはいられなかった。






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こんばんは。



皆さま、こんばんは。


いつも拙いお話を読んで下さって、ありがとうございます。


12月にブログを開設しまして、ほぼ毎日、記事をあげてまいりましたが、とうとうストックが尽きてしまいました(汗)


続きはこれから執筆していきますが、かなりのスローペースになるかと思われます。


ボチボチの更新になりますが、お付き合い頂けると嬉しいです。


これからも、どうぞよろしくお願い致します。



           Ryo






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#82:堕天使

#82






『お掛けになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため掛かりません…』


俺は「チッ」と舌打ちをしながら、もう何度聞いたか分からない電話案内のアナウンスが、2回目を繰り返す前に電話を切った。


何故だか胸の中がモヤモヤして、頭の中がイライラして、何をやっていても集中できない自分がいる…


まひると連絡が途絶えてもう3日が経った…


アパートにも出向いたが、人の気配はありそうなのに玄関には誰も出て来なかった。




「いったい、何やってるんだよ!」




思わず、秘めていたイライラが口を吐き、ラウンジのカウンターテーブルを拳で叩いてしまった。




「…サトシ、ここ数日…荒れてるな」




グラスを磨いていた店長が、俺の方は見ないまま静かにそう言った。


他人には見せないようにしてきたつもりだったが、店長には見透かされてしまっていたようだ。


でも、それを認めたくなくて俺は返事をしないまま、飲みかけのウイスキーを一気に飲み干した。


…と、その時だった。


俺の携帯電話が振動し着信を知らせた。


俺は急いでディスプレイを開き、着信相手を確認して肩を落とした。


着信相手は留衣子だった…




「ねぇ、サトシ…庄野まひるとは連絡取ってる?」




「いや…何で?」




「そう…川原くんから彼女の様子を見てきてくれないかって。まだ、彼女…会社休んでるらしくて。私が行けたらいいんだけど、色々と忙しくって…」




「俺が様子見てくれば言い訳?」




留衣子が言い出す前に、気の利いたフリをしてそう告げたものの、もう既に様子を見に行ったことは、口が裂けても言い出せなかった。




「あのマンション、父の会社の所有物件なの。鍵は用意してあなたのマンションのポストに入れておくわ」




今度は留衣子が気の利いたことを言ってくれたお陰で、俺は案ずることなくまひるのマンションへ出向くことが許された。


やはりその日も、まひるの電話は通じなかった。


次の日、マンションのポストに鍵が入っているのを確かめてから、俺は急いでまひるのマンションへと向かった。



ドアノブに手を掛けると、不思議なことにドアが開いていた。


やはり、まひるは居たのだと安堵の溜め息が漏れた。


ドアを開けて玄関に一歩足を踏み入れると、俺の目に飛び込んで来たのはバッテリーの外れたまひるのスマートフォンだった。


嫌な予感がして、俺は慌てて部屋の中に入った。


俺の目に映ったのは、ベッドの上で裸のまま身悶えるまひるの変わり果てた姿だった。






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#81:崩壊(その2)

#81






川原に飲まされた薬のせいなのか…


それとも、私の潜在意識に潜んでいた欲望がそうさせたのか…


私は欲望だけを剥き出しにして、川原との情事に耽った。


相手が誰なのかさえ分からなくなったにも関わらず、私が不安に陥ることはなかった。


もう、溢れてくるのは満たされたいという欲望だけだった…




「ふふふ…ねぇ〜、もっとちょうだい。もっともっと、私のココ…グチャグチャにして…」




壊れていくまひるを見ながら、まるで違う誰かを抱いているような、そんな錯覚に陥った川原は、理性には勝てず、まひるの言葉に…身体に溺れていった。


まひるの蜜壷から滴る愛液は、乾く暇などなかった。


まるで限界などないように、絶頂を迎えてはすぐに川原のモノを欲しがってきた。


萎えた川原のモノは、まひるの腔内に誘われ、舌先で弄ばれながら大きくなっていく。


川原自身も自分の性欲に驚きを隠せなかった。


しかし、まひるの性欲は止まることを知らなかったが、川原に限界は訪れた。


少しまどろんでいるうちに、まひるの耳に微かな声が聞こえてくる。




「…君にしか頼めないんだ。本当に申し訳ないんだけど…」




川原は肩を落としながら、誰かと電話をしているようだった。


ついさっきまで、体の隅々まで行き渡っていたエナジーが微塵もないほど枯れ切った背中だった。




「…いつも悪いな。知り合いから勧められたんだけど、ちょっと量を間違ったみたいでさ…今度、君の好きなあのレストラン、予約しておくから。一緒に…いいよね?」




相手が誰なのか、検討もつかない…


ただ、相手の返事がいい返事だったのだろう。


川原のホッとしている様子が何となく伝わってきた。


川原がベッドから立ち上がった拍子にベッドが揺れ、まひるの体を振動させ目覚めさせた。




「もっと…ちょうだい。もっと、もっと…ココにちょうだい。ねぇ…早く!」




まひるの目の焦点は定まらないままで、ゆっくりと体を起こすと自分の指を蜜壷にあてがった。


ヌラヌラと濡れる蜜壷を自らの指で広げ、「ちょうだい」を繰り返しながら強請っている。


精気の萎えた川原の背中がブルっと震え、体が甘美な世界を思い出させようとしたが、大きく頭を振ってその思いを振り払う。


「ごめん」その言葉だけを残し、川原は逃げるように部屋を出て行ってしまった。


取り残されたまひるには、欲望を満たしてくれる対象物が目の前から消えてしまったことだけは感覚として残ったようだったが、表情は変わらないままだった。


「ちょうだい」と艶かしいほどに呟きながら、自らの指を蜜壷に挿し込み、狂ったように自慰行為に耽ったのだった。






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#80:崩壊

#80 (2)






川原に激しく腰を打ち付けられ、もう一つの蕾をこじ開けられた私の体は、慣れない異物を飲み込んでしまった途端、拒否反応を起こした。


体の一部が破壊されていくような衝撃を覚え、身悶えた私は川原の力強い腕で動きを制止される。


深く呼吸をしようとしても、更に追加された薬の副作用からか、動悸が激しくなり私の身体に取り込まれる酸素の量が一気に減少した。


激しい耳鳴りに私は頭を抱え込みながらも、自分の意識を必死で確認する…


浅く短い呼吸を繋ぎながら、襲ってくる不安や違和感を払うように私の手が空を切った。




「まひるっ!…イク…ぞ」




背中越しに川原の言葉が聞こえた後、私は狂ったように声を張り上げ、一瞬、意識を失った。


ベッドに突っ伏した私のもう一つの蕾の中に、川原の熱い液が放たれ、挿し込まれた蕾の僅かな隙間から白濁とした液が逆流してくる。


意識を失った私の全身から力が抜けたことを確認した川原は、私の体を休めることはせず、もう一つの蕾への快楽を更に求めようと、自分の精で満たされた中を再び掻き回し始めたのだった。




「まひる…まひる…」




川原の甘くすがるような声が、耳元に何度も投げかけられ、私はようやく目を覚ました。


もう、体の一部が壊れるような衝撃も、痛みも、激しい動悸も感じることはなかった。


私の体に覆い被さって腰を動かす川原の動きに合わせるように、自然と体がリズムを刻んだ。


川原のモノが出し入れされる隙間から入り込む空気で、お腹が張るような違和感までもが、快楽の一つになってしまっていた。




「ねぇ…もっと…ちょうだい」




私に唇から滴る涎と共に、今まで放ったこともないような甘い声が川原の耳に届いた。


私の両腕が川原の腰を捉え、催促するようにグイっとお尻へと密着された。


その仕草に興奮した川原の欲望は、留まることを知らず加速していく…




「ねぇ…もっと、ちょうだい。…もっと…いっぱい…」




「まひる…気持ちいいよ。…もう、イッていいだろ?」




絶頂をすぐにでも味わいたい川原は、腰を激しく動かして私への同意を求めた。


しかし、私の耳に川原の言葉は聞こえてこなかった…


聞こえてこないと言うよりも、頭で理解することが出来なかった。


私の頭の中がどんな風になってしまったのか…それすら分からない。




「もっと…もっと…欲しいの。気持ちいいのを…ちょうだいよ、ねぇ…」




「まひる…?」




自分の快楽に耽っていた川原は、ようやく私の変貌に気付いた。


しかし、もう、時既に遅しだった…






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#79:堕落(その21)

#79






川原にこじ開けられたもう一つの蕾は、川原の指で慣らされながら、次第に数を増していく指をすんなりと受け入れていった。


川原の指の動きに反応するように、私の唇から掠れた喘ぎ声が漏れる。


私の掬い取られた愛液が、こじ開けられた蕾の中で川原の指に絡まりながらヌチャヌチャと音をたてた。




「…感じてるの?」




締め付けていた蕾の入口が徐々に緩んでいくのを確かめながら、川原が意地悪な口調で私に問い掛ける。


その言葉さえも、今の私には刺激となり、言葉の代わりに大きく頭を振り続けた。


私が従順になっていくのが川原には堪らなく嬉しいようで、口元を緩めながら更にもう一方の手で、今度は蜜壷までも刺激し始めた。


濡れ切った蜜壷は川原の指を飲み込み、奥へ奥へと誘っていく。


辿り着いた肉癖を川原の指で擦り付けられると、その刺激がもう一つの蕾の中に伝わり、私にまた違った快楽を与えた。


のけ反る私の体を見た川原は、私に更なる快楽を与えようと蜜壷と蕾の中を同時に掻きまぜ始めたのだった。




「あ、あぁぁぁぁ――っ!」




一気に押し寄せてくる快楽に私の身体が身悶え、大きな声を張り上げさせた。


頭の中に靄が掛かり、自分の意識が遠のきそうになる。


私の乱れる姿に気を良くした川原は、指の動きを止めることなく、更に激しく前後から掻きまぜていった。




「まひるとのセックスはそれなりに気持ち良かったけど、君がこんなに乱れる姿は初めて見るよ…凄く興奮する…それにコッチも初めてだよな?」




そう言うと川原はもう一つの蕾から指を引き抜くと、大きくそそり勃つモノを入口にあてがった。


途切れそうになる意識の中でも、私の欲望は満たされることを求めていて、自ら腰を上げ川原にねだる格好をしてみせる。




「まひる…最高に気持ちよくさせてあげるから」




私の身体は、薬の効果で既に理性を失っていた。


川原の甘い囁きなどどうでも良くて、お尻にあてがわれたモノが私にどんな快楽を与えてくれるのか…それだけしかなかった。


メリメリと音が聞こえてきそうなほど蕾が開かれ、川原のモノが肉癖を擦りながら中へと入っていく。


その瞬間…


更に追加された薬の効果で、私は私ではなくなった。


「まひる」という名前にも反応出来ないほど、口から涎を垂らし、性を貪るメスへとなってしまったのだった。






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#78:堕落(その20)

#78






川原から最初に飲まされた薬の効果が現れたばかりだというのに、何を思ったのか、川原は更に2錠の薬を私の体へと流し込んだ…


異様な喉の渇きと体の火照りで、正常な思考能力を持ち合わせていなかった私には、川原がそんなことをしたことに全く気付かなかった。




「…初めてで3錠はキツかったかな…」




川原は少し不安な表情を覗かせ呟いたが、その呟きは私の耳には届いていなかった。


川原に水を与えられた私は、喉の渇きを潤すことができ、安堵の溜め息を漏らしたが、水を飲んだだけでは体の火照りの方は鎮まらなかった。


喉の渇きは満たされたが、体の火照りは私の下半身へと集中して、蜜壷が悲鳴をあげるくらいに疼き出す…


蜜壷から抜かれた川原のモノを、物欲しそうな目で見つめている自分に気付いて、思わず目を逸らし頭を振った。




「どうした?まひる…」




私の不可解な行動に気付いた川原は、グラスを少し離れた床に置くと、再び私の体を引き寄せた。




「何か言いたそうな顔してるけど…」




私の耳元に唇を近づけ、そう囁くと、耳たぶを舌先でゆっくりと舐め上げる。


体全部が性感帯になってしまっているのか、その行為にさえ私の体はビクンと震えた。


川原は私が感じていることを確認すると、舌先を首筋に移し肩から胸へと舌を這わせていく。


胸の膨らみから硬くなった胸の先端を、川原の舌先で捉えられた時には、さっきよりも大きく体が震えた。


それと同時に、川原の右手が下半身の茂みを掻き分けて秘部に到達すると、すかさず蕾を指の腹で一気に擦り付けた。


尋常ではない快感が私の体を襲い、私は川原の腕の中で身悶えする。


息があがる…


さっきとは比べ物にならないくらい、蜜壷の疼きが増して愛液を滴らせる。


私の意思とは関係のないところで、体が満たされたい欲求を放ち始めた。




「お願い…もっと…ちょうだい」




「何を…?また、水が欲しいの?」




手の動きを緩めることなく、川原は私の耳元で囁いた。




「そうじゃなくて…あなたの…モノで、私を…満たして…」




私の唇が自分でも驚くような言葉を奏で始めた。


川原に焦らされれば焦らされるほど、私の口は欲望の言葉で飾られていった。


私の言葉に興奮していく川原は、満足気な笑みを見せると秘部から垂れ流された愛液を指で絡め取ると、もう一つの硬く閉ざした蕾に擦り付け、指先でこじ開けようとする。


もう痛みなど感じなくなった私の体は、意外にもその指をすんなりと受け入れ、終には川原の大きくそそり勃ったモノまでも深く飲み込んでいた。






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#77:堕落(その19)

#77






私はこの川原という男に、どんな風に抱かれていたのだろう。


つい、この間まで少なくとも川原の愛情を受けていた筈だったのに…


その愛情の欠片も感じないほど、川原の仕掛けてくる愛撫は怒りに満ちて荒々しいものだった。


「やめて」という私の虚しい懇願さえも、川原の耳には入らないかのように、川原は私の体を自分の欲望のままに弄んでいった。


しかし、私の想いとは裏腹に川原に飲まされた薬の効果は絶大だった…


川原の荒々しく、時には痛みを伴う愛撫にさえも、私の体はいやらしく反応した。


いつの間にか愛液で溢れた私の蜜壷は、川原のモノを咥え込み、あられもない声を出させ、鏡の中に乱れた自分を映し出す。


「やめて」という言葉さえも疑いたくなるくらい、私は薬によって乱されていた。




「川原…さん、お願い…お水…ちょうだい」




川原に抱きかかえられ、腰を揺らされながら、立て続けに喘ぎ声をあげた私は、異様な喉の渇きに襲われた。


肩でハァハァと息をしながら、掠れた声で川原に懇願する。




「こんなに締め付けられて…離れられないけど」




川原は私の乱れる姿を冷ややかに見つめながら、意地悪な返事をする。




「…お願い…します。喉が…焼けるように…熱いの」




「しょうがないなぁ。まひるの喘ぎ声が聞けなくなったら、俺も盛り上がらないし…」




川原は仕方ないといった態度を見せると、私の体からゆっくりと離れた。


座り込んだカーペットには、私が流した愛液のシミが驚くくらい広がっている。




「これだけ濡れたら、喉も乾くだろうな」




そう言って笑い声をあげた川原は、立ち上がってキッチンへと向かって行った。


グラスいっぱいに注ぎ込まれた水が運ばれて、私は思わず川原に向かって手を伸ばした。


川原はクスリと笑うと、私の手が届かないところでグラスを見せつける。


水を欲する私を愉しむかのように、川原はグラスを近づけては遠ざけた。




「川原さん…意地悪…しないで」




泣きそうな私の顔を見た途端、川原はグラスの水を自分の口に含むと、私の唇に強引に重ねてきた。


少しずつ腔内に流される水を、私は貪るように吸い尽くす…




「もっと…」




私の言葉に応えるように、再び川原はグラスに口を付け、私の唇に水を運んだ。


二度目は川原の腔内から一気に水が流れ込んできた。


その時、さっき川原から飲まされた錠剤が数を増して、私の喉に流し込まれていったのだった。






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#76:堕落(その18)

#76






川原に羽交い絞めにされ、鏡に映し出された自分の恥ずかしい姿に、私の頬は見る間に紅潮した。


薬を飲まされ、川原の指で弄られ濡れ切った局部を真面に見ることが出来ず、私は俯き目を硬く閉じたのだった…




「まひる、ちゃんと見ろよ…自分の体がどうなってるのか」




私の耳元で川原の意地悪な声が響いて、私は目を瞑ったまま、頑なに首を振り続ける。




「今更、恥ずかしがることじゃないだろ…アイツに薬飲まされて、濡らして…お前も悦んだんだろ!」




川原は私の拒む態度が気に入らなかったのか、少し語気を荒げて、羽交い絞めにした私の体に力を込めた。


そうして、鏡の前で開かされた私の濡れた局部を荒々しくまさぐり出し、私の唇から悦びの声を引き出そうとした。




「川原さん、もう…やめて。こんなこと…間違ってる」




「間違ってる…?そうかもな。社長の姪の沙織に言い寄られて、お前を捨てた俺は…間違ってたのかもな」




私の言葉に、さっきとは打って変わって声を和らげ、私の体をまさぐる手を止めた川原を鏡越しに思わず見つめる。




「…川原さん?」




「沙織に勧められて飲みだしたこの薬で、普通のセックスじゃ物足りなくなって…気が付いたら沙織なしじゃいられない自分がいた。…結婚が決まった後、沙織がサトシと関係を持ってたことが分かって…俺は後悔したよ。まひるを捨てたこと…」




鏡に映る川原は、そのことを思い出しているのか、悔しそうに顔を歪めた。


川原の悔しそうな顔を見つめながら、会社で勝ち誇ったように結婚の報告をした沙織の顔を憎々しく思い出す。


川原の打ちひしがれた姿を見ていると、思わず情が動き出しそうになる自分がいた。


「後悔している」という川原の言葉に、捨てられて傷ついた私の心が少しだけ報われそうになるのを感じた時だった…


再び、何かを思い出したように、川原の表情が険しさを増した。


鏡越しに目が合った川原は、憎々しげに私を見つめている。


情が動き出した私には、川原の思い出したことが何だったのか予測することも出来ず、蛇に睨まれた蛙のように怯えた表情を鏡に映してしまった。


その瞬間、止まっていた川原の指が動き出し、私の体を弄び始める。




「お前も、アイツにこの薬でおかしくさせられたんだろ?こんなにヨダレが出るくらい、気持ちよくさせられたんだろ?」




「…違っ…!薬なんか…使ってない…」




私が思わず口にした言葉は、川原の怒りを更に増大させた。






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#75:堕落(その17)

#75






私の頭の中で川原の言葉が繰り返される…


沙織が飲まされていた…?


サトシに…?どうして…?


返答のない自問ばかりが私を追い詰めていった…


呆然とする私を余所に、川原の欲望が濡れそぼった下半身へと注がれていることに気づいたのは、川原の指が再び、蜜壷へと挿し込まれた時だった。


「ひゃ…ん」


思わず声が零れて、慌てて口を両手で覆った。


私は川原の意のままになることを拒むように唇を噛み締める…


しかし、喘ぎ声が止んで静かな筈の玄関に、私の耳を疑うような淫靡な音が木霊していた。




「まひる…凄いよ、お前のココ…すっごいいやらしい音してる…」




興奮気味に言葉を発する川原の指が、ヌチャヌチャと私に聞こえるように音を響かせ、激しく蜜壷を掻き回した。


肉襞をえぐるように掻き回す指の動きに、痛みしか感じなかった場所が、なぞられるたびに鳥肌が立つほどの甘美な刺激を伴い始める。




「…そろそろ…欲しくなって来たんじゃない?」




立て続けにイカされた私の体が、蜜壷を刺激する川原の指をやんわりと締め付けるのを確認したからだろうか…


川原は声を出すのを拒んで力の入った私の体を抱き起こすと、私の背後へと回った。


私の腰の辺りで、膨れ上がった川原のモノがビクンビクンと脈打つのが伝わってくる。


川原はわざと誇張したモノの存在を示すように、私の体を背後から引き寄せたが、自分の意思じゃなく疼き出す体に抵抗するように、私は身を縮こませた。




「往生際が悪いな…もう、こんなになってるのに。自分の体がどれだけ欲しがってるのか、見せてやるよ…」




川原は背後から私の耳元でそう呟くと、そのまま私の体を持ち上げ、勝手知ったる私の部屋の中へと向かって行く。


宙に浮いて不安定な体は、身を守ろうとする本能からか、思わず身体の重心を川原へと預けてしまった。


私の体が重力のままに床に下ろされたのは、私の寝室だった。


ベッドではなく床だったのは、私の寝室に全身を映すほどの姿見があるのを川原は知っていたからだった。


床に座らせた私の背後に川原が再び、ぴったりと体を寄せてくる。


姿見に映された二人の姿に気を取られた瞬間、不意に川原が動いて、羽交い絞めされるような格好にさせられた。




「これならよく見えるだろ…まひるココ。欲しがってるとこ、よ〜く見せてやるから」




鏡の中で微笑む川原は、もう私の愛していた川原の顔とは違っていた。






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#74:堕落(その16)

#74






川原から飲まされた薬のようなものは、数分後に私の体に変化をもたらした。


指の先が痺れて、徐々に感覚がなくなり冷たくなっていく…


それなのに、体の内側からは熱の塊がジワジワと分散されると、体の細部に至るまで火照りが生じてきたのだった。


その火照りは次第に下半身へと集中し、更に疼きをも伴っていく。


今まで濡れなかった下半身の茂みの奥から、滴るほどの蜜が溢れ出した…




「さすがだな…よく効いてくれるよ、この薬。…もう、ビチョビチョじゃないか」




川原はニヤリと笑みを浮かべると、溢れ出す蜜を確かめるように、茂みの中の蕾を指先で触れた。




「あんっ!」




川原の指先が少し触れただけで、私の蕾は過剰に反応し、私の唇からあられもない声が零れた。


その声を聞いた川原は、嬉々とした表情を浮かべて、更に指の腹で蕾を擦り始める。




「あ、ヤダ…そんなに…擦ったら…」




「擦ったら…何?まひる、…どうなっちゃうのかな?」




川原の意地悪な口調が、火照った頭に痺れるように響いてくる。


川原の指がほんの少し速さを増した瞬間、私は大きく体を震わせ、再びあられもない声を発すると、あっと言う間に1回目の波を迎えたのだった。


さっきまで痛くて堪らなかった蜜壷の中は、信じられないくらいの蜜で潤っていて、刺激を求めるかのように痙攣を繰り返している。


私の体なのに、自分の意識とは別のところで支配されているような怖さも、私の中で何度も何度も顔を覗かせる。




「あれ?…もう、イっちゃった?」




小刻みに揺れる私の腰を引き寄せると、確かめるように川原の指がゆっくりと襞をなぞった。


円を描くように動く指が、時折、大きくなった蕾にも刺激を与えてきて、自分の意識とは裏腹に体は川原の腕の中でビクビクっと跳ねる。


その反応を愉しむかのように、大きな波が襲ってきても、川原は動かす指を止めようとはしてくれなかった。


何度目の波が私の体に押し寄せてきたのだろう…


髪を振り乱し、ハァハァと肩で息をする私を川原が呆れたような顔で見下ろしている。




「いくら薬が効いてるって言っても…お前がこんなに淫乱だったなんてな…アイツにも飲まされてたんだろ?この薬…沙織が飲まされてたように…」




川原の言葉に私の肩が止まる…


目を見開いて川原の視線を追ったが、もう既に川原の興味津々な視線は、痙攣を繰り返す下半身へと注がれていた――







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#73:堕落(その15)

#73






私の中に精を放った川原だったが、興奮しているのか、再び私の蜜壷の中で昂ると、休む間もなく腰を動かし始めた。


濡れきらなかった私の蜜壷は、川原の吐き出した精で潤い、川原の動きをスムーズにさせた。




「…どうして…こんなこと…」




私が自ら溢れさせたものではないのに、嬉々とした表情を浮かべで、私の上で縦横無尽に腰を使っている川原を見ていると、何だか胸が苦しくなった。


かつて、愛した人がこんな風に精を吐き出したことに、憤りを感じすにはいられなかった。




「お前が濡れてくれないから…仕方ないだろ。流石に俺だって、気持ちよくなくちゃ萎えるし…それに…」




川原が動かしていた腰を止めて、額に滴る汗を拭わないまま私を見つめた。


川原の見つめる目が、私を見透かそうとしているようで、思わず目を逸らそうとした時、川原の両手が私の俯こうとする顔をしっかりと包み込んだ。




「お前さ…どうせピル飲んでんだから、妊娠する心配ないだろ?」




畳み掛けるように放たれた川原の言葉に、私は愕然とし言葉を失った…


学生時代の苦い恋の結末に、ピルが手放せなくなった自分の過去が、川原の言葉で否応なしに蘇って来る。


何故、川原がそのことを知っているのか…


誰にも話したことのない過去を、川原が何故、知っているのか…


私の頭の中で川原の乾いた声が何度も繰り返される。




「お前さ…本当に俺のこと、愛してたの?結婚なんて言ってたけど、お前の方がしっかり予防線張ってんじゃん」




「それは…違う…」




若気の至りで自らを傷つけてしまった過去を繰り返したくなかっただけ。


堕胎を初めて経験した、あの内診台の冷たさ…


一人で背負った孤独と恐怖…


それらが私の口を吐いて出ようとしたが、私の唇は川原の濡れた唇で塞がれてしまった。


川原の舌が私の腔内に挿し込まれると、クチャクチャと音をたてて蠢き始めた。


息も出来ないくらい舌で舐め回された後、口の中に微かな苦味を感じた。


私が目を見開いたことで、それに気付いたことを悟った川原は、更に舌を私の喉の奥の方へと挿し込んだ。


唾液と一緒に何か錠剤のものが流し込まれると、ようやく川原の唇から解放された。




「今度は、まひるも気持ちよくなれるよ…」




そう言った川原の言葉の意味が分かったのは、それから数分後のことだった――






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#72:堕落(その14)

#72






床に寝転がった私の目にクリーム色の天井の壁が映った。


まだ、潤いきれていない蜜壷に挿し込まれた川原の3本の指が、潤いを求めて容赦なく掻き回していく。


乾いた肉襞が川原の指の動きで摩擦され、ジンジンと熱を持ち、それと同時に肉を抉られるような鋭い痛みが走った…




「くぅ………ぅぅぅっ」




痛みは言葉にならない声を口元から零れさせる。


天井の壁がぼんやりとし始め、溢れて来る涙で視界が遮られた。




「痛いか?まひる…泣き顔も綺麗でゾクゾクするよ」




川原はそう言うと、舌先で私の流した涙を掬い上げ、唇を寄せて涙を吸い上げていく。


クリアになった私の視界に口角を上げた川原が映り込んだが、あまりの痛みで私は、目を硬く瞑ったのだった。


すると、程なくして濡れ切らない蜜壷を掻き回していた川原の3本の指が、不意に抜かれた。


乾いた指の感触と灼けるような痛みを残して、いっぱいになっていた蜜壷が突然、空っぽになった…


痛みから解放されてホッとした感覚と、痛みだけが残り抜け殻のようになってしまったような感覚が、一気に私を襲ってきた。




「今まで…大事にし過ぎたかな」




川原は口角を上げたまま、そう呟くと、そそり勃った自分のモノを露にし、有無を言わせないままに空っぽになった蜜壷へと一気にソレを突き立てたのだった。




「ぐぅ…ぅぅ……や…めて。お…願い」



ヒリヒリとした痛みが体中を駆け巡り、痛みで意識が飛びそうになる私は、息も絶え絶えに川原に言葉を放った。




「嫌だ、止めない。他の男と出来ないように、お前のココ…めちゃめちゃにしてやるから」




川原はゆっくりと腰を動かしながら、私を見下ろしてそう言った。


川原から優しい愛撫しか受けたことのなかった私の体は、川原のモノを違うモノだと認識したかのように濡れなかった。


乾ききった肉襞が更に川原のモノで摩擦され、私の意識が遠のいていこうとした瞬間…


ドクン――と私の蜜壷の中で発せられた精を感じた。


乾いた蜜壷が川原の放った精をじわりじわりと吸収していく…


途端に、精を放ったばかりの川原のモノが再び蜜壷の中で大きくなっていった。




「これで、痛くないだろ?」




満面の笑みで腰を動かし始めた川原を、私は潤んだ目で呆然と見つめた。


あんなに優しかった川原が堕ちていく姿を、見つめることしか出来なかった。






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#71:堕落(その13)

#71






身に纏ったものを剥ぎ取られ、素肌を露にされた私は、川原の言葉に困惑したまま、川原にされるがままになっていた。


私も…騙されている…?


サトシが私以外にも、誰かを騙している…?


何の為に…?誰の為に…?


次々と溢れて来る疑問は、もう既に私の頭の中を占領し、拭っても拭いきれないものになっている。


心の中がザワザワと音をたてる…


サトシの顔が頭を掠める度に、その音がより一層、大きくなっていくような気がした。




「そんな顔、するなよ。嫉妬するだろ」




私の体に覆い被さってきた川原の声が左の耳元で聞こえた。


「愛してる」そう囁いてから始まる行為が、今日は言葉を変えていた。


まだ、川原の指先の感触を…川原の声を…川原の体の重みを覚えている体が、驚くほどに反応を示した。


耳たぶを甘噛みした唇は、大きく口を開けて左耳を包み込む。


クチャクチャと唾液の音が響くように耳を吸われ、舌先は耳の穴へと伸びていった。




「ひゃっ……」




声を漏らした途端、川原はほくそ笑むと左の手を下半身へと忍ばせた。


冷え性の彼の指先は火照った体にひんやりとして、私の体を刺激する材料となった。




「相変わらず敏感だな。…アイツの指でも濡れまくったんだろ…」




手馴れた指先は茂みを掻き分けて、蕾の所在をすぐに突き止める。


川原の恋人としての3年間、刻み込まれた彼の愛撫が早々に体から消えることはなかった。


しかし、今日の川原の指使いは、いつも私の体に与えてきた愛撫とは違っていた…


いつもよりも執拗に…いつもよりも荒々しく、まだ濡れきっていない蕾を責め始める。




「…アイツにどんな風にされた?優しかったか?それとも…」




川原の声がそう耳元で囁いた瞬間、彼の3本の指が一気に蜜壷を満たしたのだった。




「いや…痛っ!…やめて!」




鋭い痛みが下半身を襲って、私の意識を覚醒させる。


その痛みは川原の荒々しい指の動きで、更に私の口から悲鳴をあげさせた。




「アイツの指もこうやって飲み込んだんだろ!あんなに大事に抱いてきたのに…アイツにも…サトシにもこうやって悲鳴をあげたのか?…それとも、甘い声で喘いだのか?」




川原の荒々しい指の動きと、怒りのこもった言葉が私の涙腺までも緩めさせ、目尻を涙が伝っていった。







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#70:堕落(その12)

#70






「…何だよ。この傷痕…」




胸元を掴まれたTシャツの隙間から、まだしっかりと体に残るロープの赤い痕が、川原の目を釘付けにした。


私は慌てて川原の手を解き、Tシャツの襟元を戻したが、川原の怒りのこもった視線は、私の体から離れることはなかった。


思わず川原から視線を逸らす…


そうしたことで川原は何か確信を得たのか、再び私の纏ったTシャツに手を伸ばすと、怒りで震える手に目一杯の力を込め、それを引き裂いたのだった。


傷だらけの肌はあっと言う間に露にされ、川原の目に晒された。


私は咄嗟に両手で胸を隠すような仕草をしてみたが、すべてのロープの痕を隠しきることなど出来なかった。




「…アイツにされたんだろ?」




川原の低くくぐもった声が微かに震えて私の耳に届いた。


逸らした目をもう一度、川原に向けた途端、私の傷だらけの体は川原の大きな胸に包み込まれた。




「ちょっと…川原さん」




予想もしなかった川原の行動に戸惑っていると、川原は更に私を強く抱きしめた。


耳元に触れた唇が熱い息を帯びて、言葉と一緒に私に吹きかけられる。




「…アイツに、どんな風にイカされたんだよ…」




川原の言葉に私の顔がカッと血が上ったように赤くなった。


サトシとの行為が思い出され、体の芯が火照ってくるのが分かる。




「何でそんなこと…」




川原にそのことを悟られたくなくて、私は抱きしめられた腕から逃れようと、身をよじった。


しかし、思いの外、強く抱きしめられた体はピクリとも動かなかった。




「お前も…もう、アイツの中毒患者なのか?」




川原は私が弱いと分かっている耳元に、執拗なほど生温かい息を吐きながら呟いてくる。


体の隅々にまで、力を込めて抵抗を試みていた私の動きが、川原の言葉でピタリと止まった。




「…お前も…って?」




私の不安気な表情を見て、川原がいきなり声をたてて笑い出した。


川原の笑いが何を意味しているのか分からず、更に私は不思議そうな顔をして川原を見つめた。




「…お前、アイツに騙されてるんだよ」




半信半疑な私を見つめながら、今度はハッキリとした口調で言い放った。


川原の言葉に呆然とする私は床に押し倒され、力の抜けた体から身に纏ったものをすべて剥ぎ取られた。


冷たい床の感触が全身を包むと、川原のガッチリとした体が直ぐ様、覆い被さってきたのだった。






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#69:堕落(その11)

#69






私の口から沙織の名前が出て、川原は一瞬、躊躇したようだった。


その隙を狙って一気に玄関ドアを閉めようとしたが、やはり相手は男性だ。


沙織の名前の余韻が消えたのか、再び川原の手に力がこもり、私の形勢はあっと言う間に不利になった。


ドアノブを握り締めていた私は、川原の手によって開かれたドアの力で、体ごと室外へと放り出されそうになる。


バランスを失った体は、いつの間にか川原の腕に抱きとめられた。


川原の腕の中で私の体は意思を持たないまま、開け放たれたドアをくぐった。


床に体ごと放り出されると同時に、手馴れた手つきでドアが締められ鍵が掛けられた。




「川原さん…何の真似…?」




室内に入ったことで安心したのか、さっきまでの川原の恐ろしいくらい形相は、笑みを湛えた穏やかなものに変わっていた。


しかし、私にはその川原の変化がとてつもなく怖いものに感じ、思わず床に倒れたまま後ずさりしてしまうほどだった。




「まひる、怖がらなくていいよ。やっと二人っきりになれたんだから」




川原は優しくそう言うと光沢の掛かった黒の革靴をゆっくりと脱いだ。


足元に落ちていた私の携帯電話を拾い上げて、通話画面を確認している。


しかし、留衣子の携帯電話をアドレスに登録していなかったせいか、電話番号だけが映し出された画面を見た川原は、怪訝な顔つきになって勝手に通話を終わらせてしまったのだった。




「あっ…」




その動作を見た私が漏らした声に、川原が敏感に反応して鋭い眼光を上から投げかけてきた。


その目の鋭さに、私はまた怖気づいた表情を川原に見せてしまった。


裏切った川原を責めていい立場の筈なのに、川原の息巻いた態度は、私にその瞬間を与えてはくれなかった。




「…誰と電話してたの?まさか…アイツ?」




川原の言っている「アイツ」とはサトシのことだろう…


やはりあの日、サトシがこのマンションに来た理由に勘づいていたのだろうか?


それとも、こっそりマンションに入っていく私達の姿を、川原の目は捉えていたのだろうか?


どちらにしても、もう川原の頭の中にはサトシへの疑心でいっぱいになっているようだった。




「まひる…どうなんだよ!」




川原の手が私の纏った薄手のTシャツに伸びて、引き裂かんばかりの勢いで掴み掛られる。


その時、はだけたTシャツから縛られたロープの痕を覗かせたのを川原は見逃さなかった。






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#68:堕落(その10)

#68






痛いくらいドクンドクンと脈打つ胸の鼓動を、Tシャツの上から震える手で押さえつけると、私は玄関のドアをゆっくりと開けた。


狭い視界から見えるのは、向かい側の壁のコンクリートで、人らしき気配は感じられない。


私はホッと息を漏らしながらドアを戻そうとした。


その時だった…


光沢の掛かった黒い革靴が、ほんの僅かしか開いていないドアの隙間に、突然、ねじ込むように入ってきたのだった。




「きゃっ!」




短い悲鳴の後、その僅かな隙間から現れたのは、怒りを露にした鋭い目だった。


思わず握っていた携帯電話を床に落とし、私は咄嗟に両手でドアノブを握り締める。


その鋭い眼光に見覚えがあった…




「まひる…」




ドアを開けようと力を込めているのか、私を呼ぶ声にも力がこもっている。


私の目の前にいるのは紛れもなく、ついこの間まで恋人だと信じて疑わなかった川原だった…




「川原さん、どうして…」




ドアの隙間が徐々に広がり、川原の表情がしっかりと確認出来る。


よほど力を込めてドアを開けようとしているのだろう。


きちんと整髪された筈の前髪が、額にパラパラと掛かっていて、その額からもうっすらと汗が滲んでいた。




「話が…あるんだ。君と…ちゃんと話…してなかっただろ」




川原の言葉に、滝沢沙織との結婚の報告があった、あの日の朝のことが思い出された。


愕然とする私に勝ち誇ったような目で見つめる親友の沙織…


まるで、何事もなかったかのように幸せな笑顔を振りまく川原…


私の存在に気づいていても、目を合わせようとしなかった川原の姿が鮮明に思い出された。


川原が好きで、いつか結婚するものだと思っていた私には、それは衝撃の出来事だった。


それなのに何故だろう…


そう時間は経っていない筈なのに、河原との恋の終わりが、何だか遠い出来事のような気がしている。




「もう、話すことはありません。…沙織と幸せになってください」




心の傷が完全に癒えた訳じゃないのかも知れない。


でも、今はもう心は痛まなかった…


彼を好きだったことも、夢見ていたささやかな未来も、もう一度、手に入れたいとは思わなかった。


突然、目の前に現れたサトシとの確証のない交わりが、今の私には手放せないものになっていたのだった。






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#67:堕落(その9)

#67






「お仕置きって…」




そう呟く私の脳裏に、サトシのマンションの秘密の部屋での出来事が蘇ってきた。


傷だらけになったサトシの姿が生々しく思い出され、私は目を硬く閉じた…




「思い出した?あの日…あの部屋のドアから、あなたは聞き耳を立てて、しっかり濡らしてたものね。サトシに興味があるんじゃなくて、そういうことに興味があるんじゃないのかしら?」




「そんなこと…」




「ないって言える?…ほら、自分のアソコ、確かめてご覧なさいよ。もう、濡れてるんじゃない?」




意地悪そうに言う留衣子の言葉に、私の顔はカッと赤くなり、羞恥心からか携帯電話を握り締める手が震え出す。




「…やめてください。私はそんなこと…望んでませんから…」




「だったら、余計よ!サトシ私が手に入れたばかりの大事なオモチャなんだから!…あなた、きっと…川原君に振られてヤケになってるんじゃない?」




留衣子の言葉が荒々しくなったと同時に、玄関のドアがガタっと音をたて、静かな部屋中に響き渡った。


私の体に戦慄が走り、まさか…という思いが私の脳裏を駆け巡った。


電話の向こうから、留衣子が黙り込んだ私の名前を何度となく呼んでいるのが、ぼんやりと聞こえてくる。


私は傷だらけの肌を隠すように、Tシャツを無造作に頭から被ると、音を立てないように玄関へと向かった。


あの日、サトシと玄関で交わった時に感じた何者かの気配を、再びドアの向こうに感じていた。




「サトシはダメよ。私の物には手を出さないで!」




留衣子の息巻いた声を微かに聞きながら、私は恐る恐るドアスコープに近付き、何者かの気配を確かめようとする。


心臓が高鳴って、私は浅い呼吸を何度か繰り返した。


もしや…この気配は留衣子…?


そう予感しながら、私はドアスコープを覗き込んだ。


しかし、私の目に映ったのは、向かいの壁を映すだけのドアスコープの景色だけだった。


その時、再びドアがガタっと音をたてた…


私の体がビクンと震えて、思わず声が出そうになるのを必死で呑み込む。


恐怖に駆られながらも、私の中で、その気配を確かめたいという思いが勝っていたのか、私は鍵を開けゆっくりとドアを開いたのだった。






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#66:堕落(その8)

#66






私はサトシの腕にしがみついたまま、いつの間にか眠りに堕ちた。


目を覚ました時にはサトシの姿はなく、何時もと変わらない自分の部屋のベッドの上で、自分の体を抱きかかえるように小さくなっていた。




「サトシ…?」




思わずそう呟いてみたが、サトシからの返事はない。


代わりに陽の射したカーテンの向こうのベランダから、朝を知らせる小鳥の囀りが聞こえてくるだけだった。


とても静かな部屋の中は、まるで今までの出来事が夢だったかのような錯覚を私に与えた。


しかし、その錯覚はすぐに私を現実へと引き戻した。


ベッドから起き上がった私に襲い掛かる鈍い痛みと、私の体にくっきりと残った傷痕は今までの出来事を生々しく思い出させ、震えを走らせた。


体に残る熱は私に現実を残しながら、次第に私の意識を朦朧とさせた…


傷口から発せられた熱で、私はそれから丸二日間、ベッドに倒れ込んだまま虚ろな時間を過ごしたのだった。


ようやく熱が引いた頃、私は携帯電話の着信で目を覚ました。


私はまだ、目覚めきっていない体を無理矢理起こすと、ベッド横のサイドテーブルから携帯電話を拾い上げる。


ディスプレイに映し出されたのは、留衣子の名前だった。


私は慌てて着信をとると、スピーカーから留衣子の艶かしい声が聞こえてきた。




「体の方はどう?…運転手の上條があなたに酷いことしたって聞いて…」




「え…?」




「ごめんなさいね。せっかく運転手に戻してあげたのに、また、こんなことするなんて…
あなたのこと、守れなかったサトシにもきつく言っておいたから。…会社、出てこれそう?」




留衣子の口から出たサトシの名前を聞いて、私の心がドクンと音をたてた…


サトシの名前を耳にしただけで、貪るように求め合ったあの夜が思い出され、私の下半身がジンジンと疼きだした。


また、心とは裏腹に体がサトシの熱いモノを求めてしまう私がいる。




「サト…いえ、安島さんは…?」




私はあれから連絡のないサトシのことが気になって、留衣子にそう尋ねてみた。




「…あなたを上條から守れなかったお仕置きをしてる最中よ。ねぇ、庄野さん。そんなにサトシのことが気になるの?」




留衣子の艶やかな声が、急にトーンを落としたように私の耳に伝わった。


電話の向こう側の留衣子の嫉妬心に、私は火を点けてしまったようだった。






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#65:堕落(その7)

#65






サトシの住んでいるマンションとは違い、防音設備などされていない私の部屋の私の寝室は、淫らな空間へと化していた。


玄関で迎えた一度目の波では飽き足らず、私達は貪るようにお互いの体を求め合った。


上條にロープで縛られた体は、あんなにも苦痛で嫌悪感を剥き出しにしていた筈なのに、サトシのモノを楽々と呑み込んでいる私の体は、痛みすら快楽へと変えようとしていた。


何度となく襲ってくる熱い波に応えるように、零れていく喘ぎ声…


蜜壷の中をサトシのモノで掻き回される度に、奏でられる愛液の音色…


身動きの取れない体が、サトシによって弄ばれ、ピンクに染まった肌に赤い痣を残していく。


もう何度、絶頂を迎え、意識が飛びそうになったのだろう…


興奮がみなぎったサトシの体と、きつく縛られたロープから解放されたのは、夜明けが近づいてくる時間だった。




「痕が…残りそうだな」




ベッドの中で戯れていると、サトシが不意に私の体を抱き寄せてきた。


ロープの痕が残る肌を優しくなぞっている。


思ったより上條にきつく縛られていたロープは、私の肌にクッキリと痕を残した上、サトシとの行為で快楽に悶えたせいか、上半身のあちこちに擦過傷を刻んでいた。




「…血、出てる…」




触れていた肌から滲む血を指先で掬い取ると、サトシは細くて長い自分の指に舌を這わせた。


すぐにその舌先は私の肌へと移り、傷口をそっと舐め始めた。


生温かいサトシの舌の感触が、何だか心地好くて私はそっと目を閉じた。


サトシにそうされているせいか、私の体の火照りは冷めることはなかった。


サトシの付ける唾液が傷口にしみているのに、その痛みまでもが私の体の芯を疼かせていく…


私は思わず傷口を舐めるサトシの体にギュッとしがみついた。




「まひる…?どうした?」




サトシは行為の最中とは程遠い優しい笑みを浮かべて、私の顔を覗き込んでくる。


私は怖かった…


長い時間の快楽から解放された体は、怖いくらいにまだ、サトシの精を欲しがっている。


サトシの温もりで心は満たされている筈なのに、体の疼きが止められない。


サトシの体にしがみつきながら、セックスという快楽の波に溺れそうな私の体に力を込め、抗ってみる。


気持ちとは裏腹にとろりと滴る愛液を太腿の内側に感じながら、心と体のバランスを失いつつある自分が怖くて仕方なかった。







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#64:堕落(その6)

#64






「まひる…?」




玄関のドアに背中を預けた私の胸に、一度目の精を放ったサトシが顔を埋めてきた。


体はサトシに持ち上げられ、足は宙にぶらんと浮いたまま私も絶頂を迎えた。


しかし、思いっ切り声を出せなかったせいか、何だか十分に発散できなかったような顔をする私に、甘いサトシの声が私の名を呼んだ。




「…どうかした?心ここにあらずって感じだね」




「ううん、そんなこと…」




サトシの言葉に思わずもたれ掛かったドアへと視線を向けた。


やはり、ドアの向こうに人の気配を感じすにはいられなかった…




「声が…漏れるんじゃないかって心配だったんだろ…だから、思いっ切りイケなかったんだ」




サトシは唇に笑みを湛えると、繋がったままの私の体を今度は自分の方に預けて、部屋の中へと向かおうとした。




「サトシ、ちが…」




「違わない。ほら、また…まひるのココ…俺のを…締め付けてくる」




私の体を抱きしめたサトシが、甘い吐息を吐きながらそう呟いた。


急に体が宙に浮いたことで、私の体に力が入り、サトシのモノをやんわりと刺激してしまったようだった。




「今度はちゃんとイカせてあげるよ」




サトシに抱き竦められ、甘い囁きを受けた体は、再び溢れんばかりの愛液を滴らせる。


ドアの向こうに感じる人の気配を気にしながらも、私の中で徐々に硬くなっていくサトシのモノを欲しがる気持ちに負けてしまう…




「ダメ…サトシ。…揺らしたら…また…」




ロープで縛られた体は、サトシの体にしがみつきたい衝動に駆られながらも、そうはさせてくれず、私の中心に力を込めさせる。




「もう…ダメ。また…きちゃう…」




私の声と締め付ける蜜壷でサトシのモノは完全に硬くなり、私の蜜壷の奥を刺激し始めた。


私の部屋の寝室に辿り着いた時には、私の頭の中には白くモヤが掛かり、二度目の波が押し寄せてきそうな状態だった。


寝室のベッドに倒れ込むと、繋がったままのサトシが腰を揺らし始める。




「…あぁぁぁぁぁん…もう…イ……クッ……」




私の頭の中で火花が散ったような感覚が押し寄せ、あられもない声が部屋中を包み込んだ。


絶頂を迎えた筈の私の体は、ビクンビクンと痙攣を繰り返し、人の気配のことなど、私はすっかり忘れてしまったかのように、まだサトシのモノを欲しがった。


…私は完全にサトシとの快楽の波に堕ちたのだった…






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#63:堕落(その5)

#63






「まひる…綺麗だよ」


ロープで縛られ、赤く腫れ上がった肌にサトシの唇が何度も触れた。


ロープをなぞるように落とされていくキスは、初めは優しく肌に触れるものだった。


しかし、サトシの唇は肌に触れる度に興奮したのか、唇からそっと舌を覗かせ、小刻みに振動させては私の口から喘ぎ声を導き出そうとしている。




「あぁ…ん……サト…シ」




サトシの思惑に乗せられまいと、何故か必死で耐えていたのに、敏感なところを攻めてくる舌の動きには適わず、私は甘い声をあげてしまった。


その声で再び興奮したサトシは、赤く腫れ上がった肌を、今度は力いっぱい吸い上げてきた。




「ひっ…」




その瞬間、信じられないくらいの痛みが全身を駆け巡り、私の頭の中に火花を散らせた。


それと同時にゾクッとするような快感も押し寄せてきたのだった。


全身を駆け巡る痛みで体を強ばらせると、興奮しきったサトシが荒々しく私の体を開いていく。


落とされたキスは胸から腰へ…そして、濡れそぼった秘部へと下りていった。


ロープをなぞりながら進むサトシの唇が動きを止める。


ロープで食い込んだ秘部をサトシは艶かしい目でジッと見つめた。


ロープの食い込んだ秘部は、さっきサトシが触れたせいで赤く充血し、溢れる愛液はヌラヌラと妖しい輝きを放っている。




「綺麗だよ、まひる。本当に綺麗だ…」




荒々しい行為とは裏腹に、甘く囁くサトシの声に私の体が否応なしに反応する。

秘部に埋めたサトシの唇が蕾に触れる前に、私の中から愛液がどっと溢れ出し、サトシを悦ばせた。




「もう…我慢できない」




サトシはそう呟くとあっと言う間に下半身を露にさせ、私の体をドアに押し付けた。


左足を不意に持ち上げられ、上半身の自由を奪われた私の体はバランスを失いそうになった。


右足に力を込めた時、私の体の中心がカッと熱を持った。


勢い良くサトシのモノが蜜壷に挿し込まれ、私の体のバランスは保たれる格好となった。




「凄く…締まってる。いいよ…まひる」




私の耳元で囁くサトシの掠れた甘い声に、私の蜜壷がヒクヒクと痙攣して応える。


サトシの速い腰の動きで大きく揺さぶられた私の体が、押し付けたドアに振動を与えガタガタと音をたてた。


歓喜の声をあげようとした瞬間、私はドアの向こうに何かを感じた。


それが人の気配だと分かった時には、一度目の快楽の波が押し寄せた後だった。






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#62:堕落(その4)

#62






さっき、耳元で囁かれたサトシの言葉に私の胸がドキンと鳴った。


サトシのイライラが川原への嫉妬のように思えて、何故か胸の奥が熱くなっていく。


コートの裾をたくし上げるサトシの手の動きは、イライラしている気持ちを反映し、とても荒々しいものだった。


しかし、その荒々しさがかえってその熱さに拍車をかけていく…


上半身を縛られたままの私は、肌に食い込んでくるロープの痛みに再び耐えながら、サトシの行為に思わず身をよじった。


嫌がる顔をしてみせたが、私の中に火が点いたことを確信したサトシは、荒々しく秘部をまさぐっていた手の動きを速めていく。


上條に触れられても潤わなかった場所から、とめどなく愛液が滴り、サトシの指が速い動きでそれを絡め取っていった。




「…ダ…メ…、そんなに…しちゃ…」




思わず言葉を漏らした私の口に、サトシの長い指が不意に捻じ込まれた。


サトシの指先から発せられる淫靡な匂いが、私の鼻をついて喉の奥に流し込まれる。


それが自分の愛液だと分かると、途端に恥ずかしさが込み上げてきて、サトシの指に塞がれた口を左右に振った。




「ダメだろ…ちゃんと自分の愛液の味くらい、覚えておかなきゃ…まひるの愛液は、特にいやらしい味なんだから…」




耳元で囁くサトシの声で、私の体がブルっと震えた。


サトシの発する声までもが、愛液を滴らす材料になってしまっていた。


肌を締め付けるロープで体中が痛い筈なのに、その痛みを通り越して快楽の波が押し寄せて来るのが分かる。


サトシの長い指に舌を絡めて自分の愛液を味わう行為が、さらに私を昂らせていった。




「お前といると…ヘンになる…何でか分かんないけど、…止められなくなる」




サトシはそう呟くと私の口から自分の手を引き抜き、私の体を玄関のドアに押し付けた。


コートのボタンを一つ一つ外していくサトシの行為が、とてもじれったく感じられる。


コートを脱がされロープできつく縛られた体が露になった。


白い肌に食い込んだロープの周りが赤く腫れ上がっていた。


サトシが息を呑みながらその肌にそっと触れる…


痛みが呑み込まれ、快楽に支配されてしまった私の口から「あんっ…」と声が漏れた。


上條の行為では得られなかった快楽をサトシからは得られることに、どこか悦びを感じながら、未知なる快楽に堕ちていく自分に不安を感じずにはいられなかった。






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#61:堕落(その3)

#61






川原はサトシの挑発的な言葉に、顔を真っ赤にした。


アタッシュケースを持った右腕が怒りで震えている。


川原はチッと舌打ちすると、サトシを睨みながら、何も言わずにその場を立ち去ろうとした。




「川原さん、聞かなくていいんですか〜?」




追い討ちを掛けるように、大きな声を上げるサトシの方に踵を返して、川原は勢い良く向かって来た。


二人からは死角になった場所で、やり取りを見ていた私は、思わず身を乗り出した。


近付いてきた川原は、サトシの襟首を掴むと「俺には関係ないことだ」と低く、くぐもった声でサトシの耳元に囁いた。


暫くの間、その状態で睨み合っていた二人だったが、携帯電話の着信音がポケットの中で鳴り響いた川原が、先に手を離す格好となった。


電話の相手は多分、沙織だろう…


荒げていた声がやんわりとなって、サトシからどんどん離れていった。


サトシはそんな川原の後ろ姿を見つめながら、掴まれて乱れてしまった襟を正すと、私の待つ方へと振り返った。


暗くてハッキリとはしないが、サトシの表情は何だかイライラしているように見える。




「まひる!」




近付いて来たサトシが私の名前を呼んだ声で、そのイライラは本当だったことを確信した。


サトシは遠くなった川原の姿を確認すると、後ろ手に縛られた私の腕を強引に掴むと、マンションの中へと早足に入っていった。




「何階?」




「5階だけど…ねぇ、サトシ…何か怒ってる?」




エレベーターに乗り込んだサトシは、四角い箱の隅っこで息が掛かるくらいの距離に私を引き寄せている。


そのせいか、サトシのイライラもすぐに伝わって来て、私は困惑した表情を浮かべるしかなかった。


私の質問には答えず、5階で止まったエレベーターから降りると、私に視線を送って部屋の番号を聞き出す。


サトシのイライラに釈然としない気持ちが募ったが、黙ったまま表情を変えないサトシに歯向かうことは、怖さが優って出来なかった。


部屋の前に来ると、イライラが治まらないサトシは、私のバッグの中を漁って部屋の鍵を見つける。


開いたドアの中に背中から押し込められた私は、バランスを失って靴を履いたまま、玄関先に倒れ込みそうになった。


縛られた体は重力には逆らえず床へと吸い込まれる。


硬く目を閉じた私の体は、すんでのところでサトシに後ろから抱き留められた。




「なんだかなぁ〜…アイツ見ると、ムカムカする。アイツにヤられてたまひるのこと考えただけで、イライラする」




後ろから抱きしめたサトシが、私の耳元でそう呟いたかと思うと、コートの裾をたくし上げて、私の秘部に触れてきたのだった。






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#60:堕落(その2)

#60






私の目に川原隆二の姿が映った時、私は反射的に川原から見えないように姿を隠そうとした。


何故、ここに彼がいるのだろう…?


私を捨てた言い訳でもしに来たのだろうか。


胸の鼓動がドクドクと鳴り響き、コートの下から聞こえそうなほどだった。




「おぉ!サトシ!…こんなとこで何してるの?」




川原がサトシの名前を親しげに呼ぶ声が聞こえてきて、私は思わず二人の姿が確認出来る位置へと、少しだけ身を乗り出した。


サトシも川原の姿を目にすると、少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になって「川原さん」と声を掛けた。




「驚いたよ。こんなところで会うなんて…今日は、店は休みなのかな?」




「あ、はい。急な用事が入っちゃって…川原さんこそどうしたんですか?」




「…いや、このマンションに会社の部下が住んでて…体調が悪いって暫く休んでるからさ。ちょっと様子を見に来たんだ」




川原はそう言うと、サトシとは目を合わせようとせず、額に滲む汗を慌てて指先で拭い取った。




「へぇ〜、部下思いなんですね…川原さんって。あ、そうそう…結婚、決まったんですってね。おめでとうございます。お相手の方は、部下思いの川原さんに惹かれたのかな?」




川原の慌てる素振りを見てなのか、サトシは少し意地悪そうな口調でそう言いながら、相手の様子を窺っているように見える。


こっそりと二人のやり取りを見ていた私は、サトシの挑発的な態度に嫌な予感を抱いていた。




「まだまだ独身でいたかったんだけど、彼女…お腹に…出来ちゃってさ。それに、彼女…社長の姪なもんだから、結婚もせっつかれちゃって。正直、参ってるよ…」




頭を掻きながら苦笑する川原だったが、心底困っている訳ではないのが目を見れば分かる。


留衣子の言っていたように、川原が優しい羊の皮を被った野心家だったことにも頷けた。




「またまた!社長の姪との結婚なら願ったり叶ったりじゃないですか!…まぁ、それを聞いて、今日、あなたが訪ねてきた部下がどう思うか…ですけどね」




「え?どういうこと?」




「あなたが訪ねてきた庄野まひるが…ですよ」




サトシの言葉に川原の動きも止まったが、私の嫌な予感が的中した瞬間でもあった。


思わず二人の前に飛び出して行きたい衝動を抑えるのに必死だった。




「どうしてサトシが彼女のこと、知ってるの?…どういう関係?」




「…左胸の下にホクロがあることは知ってますけど…詳しく聞きたいですか?」




サトシの強気な言葉に、川原の顔が見る間に赤くなった。


川原の怒りを買った瞬間だった。






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#59:堕落

#59






私は上半身の自由を奪われたまま、サトシと共にマンションを後にした。


体を動かすたびにロープが肌に食い込んで、小さな悲鳴をあげそうになった。


そんな私に気付いて、サトシは出来るだけゆっくりと歩いて行こうとしてくれていたが、焦る気持ちも見え隠れしているのが私にも分かった。


灰皿で殴られた上條が、目を覚まして追いかけてくるかも知れない…


秘密の部屋で短い呻き声をあげた上條の姿が思い出されて、コートを羽織っただけの体がゾクリと震えた。


マンションの地下にある駐車場に着くと、既にタクシーが待機していた。


薄暗い地下でハーザードランプが、眩しいくらいに点滅している。


タクシーに近づくとタイミングよくドアが開き、後部座席に体を滑り込ませるように私達は車に乗り込んだ。




「お客さん、どちらまで?」




タクシーの運転手がルームミラー越しに問いかけてくる。


マンションを出ることばかりで、行き先を考えていなかった私達は、思わず顔を見合わせてしまった。




「…ジュンのとこでも行くかな…」




サトシがピアノを弾くラウンジの幼さを残したバーテンダーの顔が、私の頭を過ぎった。


どんなにサトシを慕っている彼でも、私のこんな格好を見たら不審に思うだろう。


それに、あのラウンジは留衣子の息が掛かった店でもある。


どこで留衣子の耳に入るか分からない、そんな綱渡りのようなことはしたくなかった。




「私の…マンションに行きましょう。あの部屋みたいに広くはないけど」




私の提案にサトシは返事を躊躇っていたが、きっと、思いつく人達の殆どは留衣子との接点があったのだろう…


暫く考え込んだサトシだったが、ようやく私の提案を呑んでくれた。


早々にタクシーの運転手に私のマンションの住所を告げる。


運転手は料金メーターのボタンを押すと、地下駐車場から地上へと車を走らせたのだった。




タクシーが走り始めて20分…


目的地であるマンションの入り口にタクシーが停った。


サトシのマンションで起きた出来事に、私達は疲れきっていたのか、運転手が困り果てるくらい眠ってしまった。


静かに走る車の震動が心地好くて、あっと言う間に眠りに堕ちてしまったのだ。


慌ててタクシーから降りた私は、人目につかない場所に身を寄せて、サトシがタクシーから降りてくるのを待った。


両手を縛られたまま、サイズの合っていないコートを羽織った私の姿を、誰かに見られるのはどうしても避けたかった。


サトシが支払いを済ませ、タクシーのドアから降り立った時、嫌な予感は的中した。


私のマンションの玄関から出て来たのは、紛れもなく私を捨てた川原隆二だった。






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#58:秘密(その19)

#58






サトシと私の傷だらけの体は、お互いを支え合うように暫くの間、抱き合った。


冷たくなった肌が触れ合って、次第に温かくなっていく。




「大丈夫だったか?」




サトシの言葉に瞼の奥の方が熱くなって、こめかみが痛くなった。


今までグッと堪えてきた涙が、一気に溢れそうになっていた。


私の泣きそうになる顔を見ながら、ハッと我に返ったサトシが、慌てて私を縛り付けるロープを外しだした。


サトシの手がロープに触れるたびに、体中に電流が走り抜けるような痛みが襲ってくる。




「…あっ…痛っ!」




必死でロープを外そうとしているサトシの焦りが、更にロープを私の肌に食い込ませて、思わず声が漏れてしまった。




「上條の奴…見よう見まねで縛ったりするから…」




サトシの口からそんな言葉が零れた後、部屋のどこから探し当てて来たのかは分からないが、目の前にはキラリと光る小型のナイフがあった。


サトシはナイフを使って、上條が私の体に巻きつけたロープを外そうと考えたのだろう。


しかし、サトシが考えていた以上にロープは肉に絡みついていて、ナイフをすべり込ませる程の隙間さえなかった。




「…お願い…します。早くこのロープを…解いて…」




ナイフを見てしまったからだろうか。


この痛みからやっと解放されると、頭の中にしっかりインプットされた想いが、我慢の限界を作り出し、懇願の声へと変えていた。


サトシは私の懇願の声に身震いすると、ロープを切る手を止めた。




「…サトシ…?…どうしたの?…早く…ロープを切って」




躊躇するサトシの姿を見て、痛みで耐え切れなくなった私は、震える声で息も絶え絶えに懇願を繰り返す。


その時…


サトシに灰皿を打ち付けられた上條の体が、短い呻き声と共にピクリと動いた。


上條の息遣いを感じて、私の体は恐怖で動けなくなった…


突然、動き出しそうな上條の蹲った体を見つめながら、私は息を潜める。




「出よう…」




私の耳元でサトシの囁く声が聞こえた。


足首に巻かれたロープだけをナイフで切って、サトシは震える私の体を起き上がらせた。


少しだけ自由になった体が、気持ちを急がせる…


この恐怖から少しでも早く解放されたいと、よろけそうになりながらも私の足はたどたどしく動き出した。


秘密の部屋から出た私に、サトシがスッポリと身を包んでくれるコートを掛けてくれた。




「まひる、行こう」




そう言って私の肩を抱いたまま、サトシが玄関の方へと向かった。


サトシに半歩遅れて歩く私は、思わず少しだけドアが開いた秘密の部屋を振り返る。


淫靡な匂いを身に纏ったままで、この部屋を後にすることに後ろ髪がひかれるのか…


置き去りにされた上條が気になるのか…


気持ちの整理など出来ないまま、私はサトシのマンションを後にしたのだった。






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#57:秘密(その18)

#57






髪の毛を鷲掴みにされた私は、溢れ出そうな涙を堪えながら、上條を睨みつけた。


上條が動く度に空気が揺れ、その揺れた空気が傷に触れるだけで、ヒリヒリと焼け付くような痛みが私を襲う…


睨みつけていた筈の私の顔は、激しい痛みに悶える表情に変わり、遂には上條の口角を上げることとなってしまった。




「あんた…本当にいい顔するなぁ〜…マジで堪んねぇよ。気が強そうなのはこの顔だけじゃなくて、下のお口もそうみたいだったけど…そろそろ、ほぐれてきたのかなぁ?」




上條は鷲掴みにした髪の毛を手から離すと、縛り付けたロープを指でなぞり始めた。


私の体は、ほんの少し触れられるだけで痛みに敏感になっていて、上條のなぞる指の動きもすぐに痛みへと便乗した。




「ここは、どうかな?」




上條が不意に言葉を発した瞬間…


私の体にビリビリと電流が走ったような痛みが駆け抜けた。


一瞬、体が痙攣したかのように震え、私の顔は苦痛で更に歪んだ。


そんな私のことなどお構いなしに、上條は腰から下半身にかけて巻きつけたロープを掴むと、体を宙に浮かせるように持ち上げたのだった。


上條がロープを持ち上げるごとに、ロープが皮膚に食い込んで痛みを膨張させる。




「ひぃぃぃ…っ!」




私があられもない声を上げたのは、ロープが秘部の蕾にめり込み、歪な形にした時だった。


渇ききった蕾にロープが触れ、上條が持ち上げるたびに嫌というほど擦れていく。


痛みが秘部の一点に集中し、私の神経もその痛みだけに注がれ、それ以外には何も考えられなくなった。




「おいおい…これくらいで、へこたれて貰っちゃ困るぜ」




そう言って高笑いする上條の声が、何だか遠くに聴こえてくる…


私は初めて経験する凄まじい痛みに、意識を失いそうになっていた。


ゴツッ…


ほんの一瞬の事だった。


意識が途切れた瞬間、持ち上げられた私の体は空を切って床へと叩きつけられた。


そして、その数秒後には、上條の大きな体が覆い被さって来て、意識を取り戻した私は金切り声を上げたのだった。




「大丈夫か?…まひる」




私の上に覆い被さって動かなくなった上條を押し退け、サトシの顔が現れた。


私の傍らでぐったりとする上條を見て、瞬時に、何が起こったのかを私はようやく悟った。


分厚いガラスの灰皿をゴロンと床に放り出したサトシは、「ふぅー」っと溜め息を吐くや否や、ロープで縛られた私の体をギュッと抱きしめてくれたのだった。






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#56:秘密(その17)

#56






激しいむせ込みで胸が熱くなって、脳が酸欠状態になったんじゃないかと思うほど、思考を失くしぼんやりとしていた。


上條になすがままになっているのは分かってはいたが、私にはもう、抵抗をする気力が残されていなかった。


剥ぎ取られていく衣類を掴んではみたものの、力の入らない手のひらからするりと抜け、抵抗の意味を成さなかった。


ようやくむせ込みが治まり、朦朧としていた意識が鮮明になってきた頃、私は自分の体の異変にようやく気づくことが出来た。


いつの間にか、両手はロープのような紐状のもので後ろ手に締め上げられ、私は自由を奪われた。


その紐状のものが、ギリギリと手首の肉に食い込み、小さな悲鳴を上げるほどの痛みを伴っていた。




「……な…に?」




床に寝かされた体を首だけ起こして、私は言葉を失った。


私の目には手首だけではなく、全身を縛り上げるロープが映っていたのだった。




「いや……やめて。……こんな…格好…」




恥ずかしさと体の自由を奪われた屈辱的な想いが入り交じって、私は唇を噛み締めながら言葉を発した、その時…


ピシッと乾いた音がして、私の肌の上を掠めていく痛みがあった。




「黙れ。これは立派な芸術だ…」




上條はそう言うと、再びムチを振り下ろし、私の白い肌を紅く染めていった。




「痛っ!…やめて、お願い!」




全身を縛られた私は、寝返りを打つことくらいしか出来ず、上條の腕から振り下ろされるムチから逃れることは出来そうになかった。


私の反応を見て興奮してきたのか、上條は更にムチを持つ手に力を込めてきた。


紅を点したように紅くなった肌に、次々と打ち付けられるムチで、私の肌はプックリと腫れ上り、くっきりと線状痕を残していった。




「…ああん?…もしかして、気持ち良すぎて泣いてるのか?」




あまりの痛みに言葉を発するのも忘れて唇を噛み締める私に、ムチを振る手を止めて上條が近付いて来る。


俯いた私の顔を確かめたかったのか、上條は乱れた髪を鷲掴みにして、私の顔をグイっと引き上げた。


絶対に泣かない…


私はそんな想いを込めて、唇を噛み締めたまま上條を睨みつけた。


泣いてしまったら、上條の思うツボだ…


私の口から、泣きながら懇願の声を吐き出せようとしている上條の意図することが読めて、私は溢れ出しそうだった涙をグッと堪えたのだった。






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#55:秘密(その16)

#55






上條は私の体に跨るようにして、覆い被さってきた。


あっと言う間に上半身の衣類は脱がされ、残ったブラジャーもホックを外さないまま、無理矢理押し上げられ豊かな胸を露わにさせた。


上條の勢いに押され、恐怖からか私の全身に鳥肌がたつ…


感じてもいないのに、胸の先端の蕾が硬くなっていくのが私の目に映って、憂鬱な気持ちにさせた。


目ざとい上條は、含み笑いを浮かべると、その硬くなった胸の蕾を指の腹で擦り始めた。


きっと、私が感じ始めたと思ったのだろう…


執拗な愛撫を繰り返しながら、持て余した舌をもう片方の胸に這わせてきたのだった。




「ひゃ……」




硬くなった胸の蕾に生温かい舌が縦横無尽に這い回り始め、私は不意打ちの声をあげた。


柔らかい肌に上條のざらついた舌が触れると、私の全身に嫌悪感が走った。




「…やめて…」




口を開くと、胃の中のものを吐き出しそうになる不快感を必死で抑えながら、私はその一言をようやく口にした。


すると、上條は私の嫌がる顔を愛おしい目で見つめると、今度は私の言葉をその唇で奪ったのだった。


閉じられた唇を舌先でこじ開け、上下の歯列を舐めまわす。


私は嫌悪感を更に露わにし、なぞられる歯を必死で食いしばった。


上條は歯列を割らない私の唇を、吸い上げたり、舌で舐め回したりを繰り返した。


そのうち、こじ開けた唇の隙間から溜まった唾液を垂らし始めた。


食いしばった歯の隙間から、上條の唾液が腔内に流れ込むと、私の喉は異物を感知して喉元を締め付け始めた。


喉元に唾液が溜まったまま、苦痛な表情を浮かべる私を嘲笑うかのように、上條は唾液を流し込んでくる。


ゴフッと私の口から音が漏れたと同時に、腔内に溜め込まれた唾液が一気に喉元を通り抜け食道へと流れ込んでいく。


ゴホゴホとむせる私を余所に、上條はざらついた舌を開いた口から容赦なく挿し込むと、私の舌に絡みついてきたのだった。


咳をすることも許されず、肺が焼け付きそうになりながら、私は上條の激しく畝ねる舌にされるがままになった。


ただ、苦しかった…


苦しい思いだけが私の頭の中を占領していた…


上條の仕掛けてくる動きを察知出来ないまま、私はすべての衣類を剥ぎ取られていた。


いつの間にか、上條に組み敷かれた私は、手首に鋭い痛みを覚えたのだった。






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Author:Ryo
大人の恋愛小説を書いています。

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