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#54:秘密(その15)

#54






留衣子の言っていた秘密の部屋のドアが、上條の手によって開けられた…


部屋の中は重厚なカーテンによって、外部からの光は遮断されていた。


それなのに部屋にはぼんやりと明かりが灯っている。


天井に揺れる影が映るのを見て、その明かりがロウソクであったことにようやく気付く。


既に蝋が溶けかかったロウソクは、原型を留めず、頼りない炎を揺らしている。


上條に突き飛ばされた私は、床に這いつくばったまま薄暗い部屋を見回した。




「あ〜、懐かしい匂いだ…留衣子のいやらしい匂いがする…」




床に這いつくばった私が顔を横に向けると、いつの間にか上條が隣に立っていた。


私の目にスラリと伸びた足が映り、私の方につま先が向けられた。


もう少し顔を上げて見ると、目を閉じたまま、うっすらと笑みを浮かべて部屋の空気を胸いっぱいに吸う上條の姿が映し出される。


薄暗い部屋の中で、上條の恍惚とした表情が浮かび上がって私の背中にゾクリと震えが走った。


薄暗さにも目が慣れてきて、上條から視線を落とした私の目に飛び込んで来たものは、ドラマの中でしか見たことのない手錠だった。


鍵穴に鍵が押し込まれたまま、無造作に床に放り出されていた。


その手錠を目にした途端、私の脳裏に留衣子とサトシが絡み合う淫靡な情景が広がった。


サトシの背中の傷を見た時に、私には経験のない世界が、そこに刻まれていることを薄々は感じ取っていた。


しかし、この部屋には手錠だけではなく、私の知らなかった世界の道具達が、床のあらゆるところに散乱している。


淫靡な情景は妄想だけに留まらず、やけに現実味を帯びてきたようだった。




「あいつら…結構、派手にやってくれたなぁ〜」




上條はそう呟くと、床に落ちていた赤いロープを手に取った。


そのローブに染み込んだ体液を確かめるように、上條はロープに顔を近付けた。


吸い込む息で留衣子の匂いを嗅ぎとっているのだろう。


満足そうな笑みを湛えた上條は、ロープを握りしめたまま、床に這いつくばったままの私に顔を合わせるようにしゃがみ込んできた。


しゃがんだ途端、上條はいきなり私の髪の毛を鷲掴みにし、顔を自分の方へと無理矢理向けさせた。




「あんたにも、たっぷり味あわせてやるよ」




そう呟くと、上條は私の体を仰向けにし、身につけていた服を乱暴に剥ぎ取ったのだった――






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大人の恋愛小説を書いています。

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