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#7:夢現(ゆめうつつ)

#7






目を開けた私は、見慣れない天井の壁紙をぼんやりと見つめた。


まだ、意識がハッキリとはしていないが、ここが自分の部屋ではないことくらいは分かる。


少し黄ばんだ壁紙は、煙草のヤニだろうか…


清潔さを感じないこの部屋の匂いも独特なものだった。


徐々に覚醒してくると、途端に私の頭の奥の方でキーンという金属音のようなものが流れ出した。


次第に音が大きくなり、頭痛まで伴いだす。


それは脈打つたびに、ズキンズキンと痛みを増して、私は尋常ではいられなくなった。


とうとう、その痛みに耐えられなくなり、私はベッドの上を数回、ゴロゴロとのたうち回る。


そのベッドの軋みに気付いたのか、隣の部屋から人の気配を感じた。


ドアがゆっくり開き、私の横たわるベッドに跪く人影があった。




「おい、大丈夫か?」




ベッドにの横に跪いているのは低い声の男性のようだ。


激しい頭痛で目が開けられない私には、この男性が誰なのか検討もつかなかった。


ただ、今はこの痛みから解放されたい…


そう願うだけだった。


ベッドの上でのたうち回る私の体に、冷たい男性の指が触れた。


私は抗えないまま男性の腕に引き寄せられ、言葉を発する間もなく唇を塞がれた。


何かの液体が私の渇いた口内と喉をゆっくりと潤していく。


男性の唇と私の唇の隙間から零れた液体が、私の首筋をなぞるように流れていった。




「…う…ん…んんっ…」




その行為は何度か繰り返される…


私の喉を通らなくなった液体を男性の舌が押し込むようにして口の中で蠢いた。


その瞬間、無理矢理押し込められた液体が逆流し、私の口内から飛沫が飛び散った。


私の口から吐き出された液体は真っ白いシーツに飛び散り、あちらこちらにシミを作る。




「…ご、ごめんなさい」




私は咄嗟に体を起こすと、シミを作ったシーツを息も絶え絶えに手繰り寄せる。


男性は背後から、シーツを手繰り寄せる私の手に自分の手を重ねて「いいから」と言った。




「で、でも…」




戸惑う私の背中を支えるように、男性は私を強引にベッドへと引き戻した。


その時、その男性がラウンジの化粧室で会った男性だと分かって、私は「あっ」と声を上げた。


男性は私の声に耳を傾ける風でもなく、私の唇に自分の唇を寄せてきて、私の口から垂れた液体の雫を舌先で舐め始めた。


私の体が男性の舌先の微妙な動きに反応し、ビクンとベッドの上で跳ねたのだった。






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