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#5:憎悪

#5






男の口から放たれた言葉に私は憤りを感じずにはいられなかった。


瀧口沙織…


昨日まで親友だと思っていた女の名前を耳にした時、朝、会社で目にした光景が脳裏に蘇った。


今までに見たことのない沙織の幸せそうな笑顔が、私の胸をぐちゃぐちゃと音をたてながらかき乱していく。


冷静になろうとすればするほど、彼女の今までの行為が私を見下して蔑んでいるようにしか感じられなかった。


川原隆二と付き合っていたことだって、私は沙織にしか知らせていなかったのに…


いつの間にか彼女は、親友の顔を見せながら、私の大切なものを時間を掛けて奪っていったのだ。




「まひるちゃん、失恋しちゃったんでしょ?」




男の言葉に悪意を感じて、私は思いっきり男の顔を睨みつける。


私の威嚇は男を少し驚かせたが、たった一瞬のことで、男はせせら笑うように私を見つめた。




「そんなに怖い顔したら、美人が台無しだって」




そう言いながら、私の太腿から引き抜いた手を私の目の前にちらつかせて、さっきまで私の秘部を弄んだ指を、舌をいやらしく這わせながら舐め上げた。




「…まひるちゃんのココは、こんなに悦んでるのに」




ショーツから染みでた愛液を舐め上げる男の仕草に、私の秘部がジンジンと疼き出す。


それだけで溢れそうになる自分の体を呪いながら、湧き上がってくる愛液を止めようと目を閉じ唇を噛んだ。


そんな私を見透かすように、男は口角を上げて笑うと、再び、私の太腿に舐め上げた指を割り込ませてくる。




「やっぱり、沙織が言ってた通りだね。まひるちゃんは顔に似合わず、いやらしい女だって…」




男の言葉に私の頬は火を噴いたように紅潮した。


頭の中でプツンと何かが弾けたような音が聞こえた。


私はカウンターテーブルに思いっきり手を着くと、イスが倒れるほどの勢いで立ち上がった。


胸がムカムカする…


頭がカッとなり血が上ったせいか、後頭部にズキンズキンと痛みが襲ってくる。


立ち上がった瞬間、平衡感覚を失った体は男の方に向かってよろめいたが、私の意地が酔った足をその場に踏み留めた。




「ちょっと、まひるちゃん。大丈夫〜?」




そう言って手を出してこなかった左側にいた男が、何とか踏み留まっている腰回りに手を添えてきた。




「触らないで!」




私の腰に添えてきた男の手を力いっぱい払うと、酔っ払った体を引きずるように化粧室へと向かった。


ようやく私の頬に涙が流れた。


彼との恋に敗れたからじゃなく、沙織に対しての憎悪の涙だった。






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