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#3:初めての感覚

#3







こんなにお酒を飲んだのは初めてのことだった。


会社のお付き合いで、嗜む程度のアルコールの量しか受け付けない体だとずっと思ってきた。


美味しいと思ったお酒が、裏切った彼の好きだったジントニックなのは癪に触るが、ふわふわと宙に浮いたような初めての感覚が思ったより嫌じゃなかった。


もっとお酒を口にすれば、苦しい感覚も忘れられるだろうか…


もっと酔ってしまえば、今日のことはすべて忘れて、何もなかったように朝は来るのだろうか…


そんなことをぼんやり考えながら、私はバーテンダーにもう一杯、ジントニックを注文する。




「…いい飲みっぷりだね」




5杯目のジントニックだっただろうか。


いつの間にか私の両隣に見知らぬ男達が座っていて、私の顔を見ながらニヤニヤしている。




「…庄野まひるさんだよね?」




男の口から私の名前が呼ばれ、酔っていた私の思考が一瞬、正気になった。




「何で私の名前、知ってるの?って言いたげだね」




私が言葉を発する前に、男は得意げな顔でそう言うと、私の頼んだジントニックに口をつけた。


男の喉が鳴り、一気に飲み干され、あっと言う間にジントニックの入っていたグラスは空になった。




「ちょっと、何するのよ」




酔いも手伝ってか、私は強気な言葉で男の手からグラスを奪う。


空っぽになったグラスを覗き込むと、沸ふつと怒りが込み上げてきて、私は男の顔を睨みつけた。




「まひるちゃん、そんなに怒らないでよ〜」




もう一人の男が茶化すように言って、私の肩に馴れ馴れしく触れる。


私が嫌悪感丸出しの顔で、男の手から逃れようと体を傾けると、もう一人の男の腕に私の体が触れて、強引に抱きすくめられた。




「まひるちゃん、相当、酔ってるね。大丈夫かな?」




私は体勢を整えられないまま、男の腕の中で体のあちこちを触られ、思わず身震いをした。




「…やめて」




そう呟いた時、もう一人の男の手のひらがカウンター下の見えないところで、私の太腿を捉えるとスカートの上からくすぐるように触れてきた。


その手はいつの間にかスカートの裾から忍び込み、私の肌に直に触れた時、私の体は嫌悪感と一緒に、また違う初めての感覚を味わっていたのだった。






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