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#22:サトシ(その5)

#22






精を吐き出した時のサトシの恍惚とした顔が私の脳裏に浮かぶ。


その表情を思い出すだけで、私の中で熱いものが再び燻っていく。


今まで経験したことのない絶頂に、私の蜜壷はまだ、痙攣を繰り返していた。


硬く瞑った目を開けると、すぐ傍にサトシの顔があった。


ハァハァと荒い息遣いが私の頬に触れる。


サトシの視線が私へと注がれ、私もサトシの瞳を見つめた。


サトシの息に触れただけで、イったばかりの私の体は理性を失ったかのように、彼を欲しがった…


それがサトシにも伝わったのか、見つめるサトシの顔が私に近付いてくる。


二人の唇が触れそうになった時、化粧室の外から「サトシ」と呼ぶ声が聞こえた。


その声に驚いたのは、サトシではなく私の方だった。


まさしくサトシの名前を呼んでいたのは、桜木留衣子の声だった。




「…桜木部長?」




私は留衣子の声で現実へと引き戻された…


化粧台から飛び降りると、床に投げ出されたショーツとストッキングを拾い上げて、慌てて身に付け始めた。


名前を呼ばれているサトシの方は、慌てる素振りもなく至って冷静だった。




「あなたが呼ばれてるんでしょ?桜木部長と知り合いだったんだ…」




私は乱れた髪を手で素早く整えて、鏡に映る自分を見つめた。


まだ、サトシとの快楽の余韻を残したままの体は、私の頬にも赤みを残した。


サトシが振り返って私の頬に手を充てた。




「いい?ドア、開けるよ」




サトシの言葉に私は小さく頷いた。


ドアに手を掛けたサトシが背中を向けたまま、私に呟く。




「俺、あの人のヒモだから…留衣子に飼われてるんだ」




もう一度、聞き返そうと思ったがサトシが化粧室のドアを開けたことで、私の言葉は遮られた…


私の頭の中でサトシの言葉が何度となく繰り返される。


留衣子のヒモって…?


飼われてるって…どういうことなんだろう。




「留衣子!」




サトシがドアを開けて留衣子の名前を呼ぶと、朝、コーヒーショップで会った時と同じ格好の留衣子が私達の前に姿を現した。




「気分悪いって言うからさ…」




「庄野さん、大丈夫?病院、一緒に行こうか?」




サトシの言葉に留衣子が心配そうな顔で駆け寄ってきた。


まだ、火照りの治まらない私の体に手を掛けた留衣子は、「まだ熱があるみたいね」と優しく声を掛けてくれた。


そんな私をサトシが見つめていた…


熱く絡まるような悪戯な視線に、私の体がビクンと震えたのだった。







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