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#40:秘密

#40






いつの間にか部屋の窓から差し込んでいた陽射しは、夜を知らせる闇へと変わっていた。


お互いの性を貪りあった私達は、掠れるような悲鳴をあげながら、それでも何度も求め合った。


蜜壷の中の肉壁がサトシの硬いモノで何度も擦りつけられ、痺れたような感覚だけが残っていた。


私は自分の愛液で濡れてしまったシーツを纏い、まどろんだ。


体のあちこちにつけられたサトシの痕をギュッと抱きしめていたかった。


目を閉じた私の頬や額や髪に、サトシの細く長い指が優しく触れる。


まるで音を奏でるかのような繊細な指使いが、私を心地好い眠りへと誘った。




「まひる…」




眠り込んだ私の耳元で、サトシの囁くような声が聞こえた。


ハッと我に返るとバスローブに身を包んだサトシの姿が目に飛び込んできた。




「ヤダ…私、眠っちゃって…」




「気持ちよさそうに眠ってたよ。…あんなに燃えたから、疲れたんだな」




柔らかく微笑んだサトシの顔を、何故だか真っ直ぐに見つめることが出来ず、私は不意に目を逸らした。


それに気付いたサトシは、私の顎を右手の親指と人差し指で挟むと、自分の方へと向かせ直した。




「風呂…沸いてるから、入ってこいよ。俺は先に入ってきたから」




サトシの触れた指が温かかったのはそのせいだった。


今まで、私の肌に触れてきたサトシの指は、いつも冷え切っていた…


その冷たさがサトシのイメージを作り上げてきたような気がして、私は少し申し訳ないような気持ちになった。




「どうした?」




私の表情が変わったのを見逃さなかったサトシは、私の顎に指を添えたまま顔を近づけてくる。


私の胸が早鐘を打つように、ドクンドクンと音をたて始めた。


煌々と明かりの灯った下で、サトシの顔をまじまじと見つめるのが初めてだった私は、サトシの綺麗な顔立ちに今更のように驚いていた。




「…お、お風呂、頂いてきます」




私は近付いてくるサトシの顔を避けるように、慌ててベッドから体を起こした。


シーツで体をくるんだまま、ベッドから降りた私は、改めてサトシの住む部屋の広さに呆然と立ち尽くしてしまった。


キングサイズのベッドが中央に置かれ、その周りには殆んど物が置かれておらず、より部屋の広さを強調している。


シンプル…と言えばシンプルだが、必要最低限の物しか置かれていないこの部屋に生活感を感じることは出来なかった。


あまり部屋の中をジロジロと見回すのもいけないだろうと、いそいそと向かった扉のドアノブに手を掛けた。


その時―――




「その部屋には入るな!」




私の背中からサトシの怒号が響いて、私の体を震わせたのだった。






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大人の恋愛小説を書いています。

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