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#29:サトシ(その12)

#29






サトシの指が蜜壷を激しく擦り上げる。


上條がミラー越しに見ているという羞恥心は、私の喘ぎ声を唇に押し留めた。


しかし、サトシの指から醸し出される快楽に頭の芯が痺れて、私の意識が遠くなる。


細い糸で繋がれたような心許ない意識が戻ったのは、上條の運転するベンツが急ブレーキをかけた時だった。




「降りろよ」




そう言ってベンツのドアが開けられたのは、そびえ立つマンションの前だった。


サトシの指に弄ばれた私は、車がどの進路を辿っているのか確認できる筈もなく、この場所がいったい何処なのか、全く検討がつかなかった。




「…お前らしくないじゃん、サトシ。啼かせられない女がいるなんてな。…ま、我慢してるその子にはそそられたけど…」




思い出したようにクククといやらしい笑いを漏らして、上條が舐めるように私に視線を注いできた。


その視線におぞましさを感じた私は、指の動きを止めたサトシの膝の上から飛び降り、目を逸らす。


急にとてつもない恐怖に襲われ、込み上げてくる震えを止めることが出来なかった。


上條は私の姿を見て笑い声を上げ、直ぐ様サトシの方へ向き直った。


視線は私を見る時とは違って、鋭く威圧するような目だった。




「留衣子姫には上手いこと言っといてやるよ。…そんなに彼女、ヨダレ垂らしてるのに、さっさと送るわけにはいかねーだろ。ちゃんと最後まで責任、とってやれよ」




「…あんた…」




サトシは低い声でそう呟いたが、それ以上は唇を噛み締めたままで何も言わなかった。




「ほら、降りろって」




上條の言葉にサトシは私の腕を思いっきり掴むと、グイグイと引っ張って車から引きずるように私を下ろした。


ベンツのドアが静かに閉まると、クラクションを鳴らして車はすぐに発車した。


道路に座り込んだまま、私はその車を見送るよりも先に、呆然と立ち尽くすサトシの姿を見ていた。


唇を噛み締めて睨みつけるように車を見送るサトシの姿が、目に焼き付いて離れなかった。


掴まれた腕はサトシの怒りからか、ギリギリと力が込められる。


しかし、サトシの悔しそうな顔が頭を過ぎって、「痛い」という言葉を発すことが出来ず、私も痛みを我慢したのだった。


車が見えなくなった頃、行き交う人達の声でサトシが我に返った。


破れたストッキングのまま、道路に座り込んだ私の姿を見た通行人が冷ややかな目で見ていくのが分かった。


サトシはその好奇の目が気になったのか、更に私の掴んだ腕に力を込めると、私を立ち上がらせマンションの中へと引きずるように入っていったのだった。







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